5月4日04:00 実家で目を覚ます。
暗い静かな朝だ。・・・イヤな予感。
普通晴れていれば、雀や鳥たちの声が賑やかで、静かなのは天気が悪い場合が多い。
すぐ外に出る。
実家のある新得はこの時、路面は濡れていて霧雨の様な細かい雨が降っていた。
テンションダウン
DNSという文字が頭の中に浮かんだ。
家の中に戻ると、ゴソゴソと相方が準備をしている音が聞こえる。
テレビをつけて天気予報を見ても、「雨」。
更にテンションダウン
しばらくすると、自転車のジャージ姿の相方が出て来て、自転車の荷物のチェックをしながら歯を磨いている。
とても、DNSをする雰囲気ではない。


昨夜帰って来てから、相方に釧勝200の話をして、200のメダルを見せた。
「今年からお金を支払ったら、その場でメダルが貰えるんだって。」
「フ~ン。」
今から思うとあの時、メダルを見つめる相方の目に炎が宿ったのかも知れない。


身体に何処も痛いところは無く、肝心の胃の方も大丈夫だ。(←ココ重要)
身体に疲れも残っていない。
覚悟を決めて、私もジャージを着ることにした。
まずはその前に、前日の経験を生かして、トイレで軽量化をする。
ジャー!!
まずはこれで一安心。(笑)
今日の服装は上はメリノウールの長袖シャツに半袖のジャージ、下は夏用のショーツにレッグカバーだ。
雨に濡れると裏起毛はかえって水分を含んで寒くなるので、裏起毛が無い方が良いと思う。
どうせ雨具を着るので温かいし、透湿性のある雨具でも蒸れて濡れるのだから。
ブルべの重鎮に教えて頂いたメリノウールは濡れても一番冷えにくいらしい。
技術が進んでも、化学繊維よりも自然の羊さんということなのだろう。
そういえば、去年の函館400の時、バス停で一夜を明かした時も、メリノウールだったので、寒さを我慢出来たのかもしれない。

準備を済ませ、04:40 実家を出発。スタート地点の帯広の森を目指す。
前日と同じところで写真を撮る。
2016年05月04日002
今日はこんな天候だから、もちろん朝日は見えない。
「雨の中で自転車を組み立てたくは無いから、せめて組み上げるまでは雨は止んで欲しいよね。」
ってことを話していたら、神様に願いが通じたのだろうか、帯広に近づくにつれて、雨は止み、路面も乾いて来た。
前日と同じ帯広の温度計の気温は11℃。前日より6℃も高い。
2016年05月04日004
前日と同じように、すき家さんで豚汁たまご掛けご飯を頂いて、
06:00 スタート地点 帯広の森に到着。
早速、自転車を組み立てる。
自転車が組みあがったとほぼ同時に、ポツポツと雨が降って来た。
2016年05月04日005
「オイオイ、本当に自転車を組む間だけ雨が止んでいたのかよ
仕方がないので、サドルバックとフロントバックにビニール袋を被せ、
靴下の上にもビニール袋を被せてシューズを履いてシューズカバーをした。

建物内で受付を済ませる。
2016年05月04日006
毎度の如く、知り合いの方にご挨拶をし、談笑をしながらブリーフィングを待つ。
相当数の方がDNSされてるようだ。
2016年05月04日007
06:30 ブリーフィングが始まり、スタッフのiwanさんがにこやかな顔で、
「広尾方面は天気が荒れるようなので気を付けて走って下さい。」と、話してくれた。
■写真提供:iwanさん
iwan03

車検の前に、このブログにもコメントを頂いている50さんご夫妻から声を掛けて頂けた。
前日の釧勝200にもご夫婦で参加されていたのだろうが、私の個人的な「スタート前の軽量化失敗」と「人間の尊厳を守る戦い」のせいでご挨拶が出来なかった。申し訳ありませんでした。m(_ _)m
ふと見ると、50さんはともかく奥様はジャージではなく普段着じゃないですか。
聞くと、「昨日の釧勝200の向かい風でお腹が一杯なのでDNSする。」ということだ。
「そうだよね。昨日完走していればメダルはあるんだし、この雨の中、走る事はないよね。」と私は思った。
この後現実には、お腹一杯どころか吐きそうになるくらいの向かい風を受けることになろうとは・・・(涙)
50さんの奥様、あなたの選択は正しかった!


そして、もう一人の女性の方から声を掛けられた。
なんとあのM埼さんの奥様であった。
M埼さんと云えば、コース上を走るスピードは私等よりも遅いので、声を掛けて抜かせて頂くのであるが、何故かそれでも私等よりいつも前にいる。
休憩時間が少ないので、抜いても抜いても前にいる。
一回のブルべで何度も抜くことになる人だ。
一卵性双生児の兄弟がもう一人いて、交代で走っているんじゃないの?って思うくらいだ。
そして、結局私等よりも早くゴールする人だ。
M埼さんは今、アメリカはコロラド州におられるはずだ。
そのM埼さんの奥様は昨年の大夕張200にご夫婦で参加されて、今回は一人で参加されるという。
声を掛けて下さり、ありがとうございました。
M埼さんは6月に戻って来られるということで、またお会いできるのを楽しみにしております。
話が違うのですが、そういえば昨年の大夕張200もずっと雨じゃなかったでしたっけ。←別に深い意味はありませんから。(笑)

車検が終わった後、
07:00 帯広の森 アイスアリーナ前をスタート。
2016年05月04日009
天候はポツポツ雨が降り、路面は濡れて水たまりが出来ている状態だ。
■写真提供:iwanさん
iwan06
スタート直後は、小径車ではなくスポルティーフで参加のクライマーM氏の後ろを走ったが、すぐ消えて行っちゃいました。
2016年05月04日010
07:26 国道38号線に出て、東へ向かうと、例年は追い風区間なのだが、今年は向かい風。
向かい風に弱い相方は辛そうだ。
2016年05月04日013
進行方向の豊頃方面の空が明るくなってきているので、天候が回復するような気がした。
それが微かな希望の光だ。(結局回復しなかったけど)
2016年05月04日014
08:45 43.1km地点 PC1 セイコーマートはせがわ豊頃店着(予定 08:50)
ほぼオンタイム。
この向かい風の中、予定通りとは中々のハイペースだ。
今年も、恒例の100円パスタを食べる。
2016年05月04日015
08:57 PC1出発(予定 09:05)
天気は相変わらず、パッとしないどころか、浦幌方面の空は黒い雲が厚くなって来た。
吉野の交差点の手前で、先に出発していたoverさんに追いつき、そのままover電車にタダ乗り。(笑)
2016年05月04日017
09:21 51.2km地点 吉野共栄の交差点通過(予定 09:30)
今まで東に向かって走っていて向かい風だったので、交差点を右折したら追い風になると思っていたら、
強い向かい風!(なんでやねん
(イメージでは西に行くと思っていたが、地図を見ると南に向かっていたのね。)
海に向かって走って行けば行くほど、どんどん向かい風が強くなってくる。
そして雨も強くなって来た。

10:25 72km付近の坂の頂上付近で相方の後輪と私の前輪が接触して落車!
痛さ半分、恥ずかしさ半分で、
オイ相方!遅いんだよ!
ほぼ坂の上なので10km/h位しかスピードが出ていないので、自転車も私も損傷無しなので問題なし。

しかし、この辺りから私の脚が回らなくなって来た。
メーターを見ると残り130kmもある。(涙)
身体の疲れから言うと、あと50~60kmでゴールという感じだ。
もしかしたら、昨日の疲れが出てきたのか???
overさんを先頭に相方、少し離れて私mugenと続いて、生花の交差点へ向かう。
「あそこに、自販機があったはずだから、赤コーラを補給しよう!」
それだけを頼りにペダルを回す。

やっと生花の交差点が見えてきた。
M川さんやクライマーMさん達が休んでいるようだ。
先頭のoverさんが、彼らを見た。
信号は青だ。
手を振りながら、そのまま通過!
「エ、エッー!行っちゃうのかよ~!(涙の叫び)」
10:48 80.8km地点 生花の交差点通過(予定 10:50)
私、ここで完全に心が折れました。(大涙)

身体は怠く、重くなり、体に力が入らない。
overさんと相方から完全に千切れ、一人トボトボ走る。
携帯食は持ってきていないので、フロントバックの中の塩飴を食べたいところだが、雨を防ぐためにビニール袋を被せてあるので、止まらなければ取り出せない。
どうしようか考えながら、10km/h位で走っていると、生花の交差点の所で休んでいた、M川さんとフランス人のGrethen Laurent(読めません)さんが近づいて来た。
トボトボ走っている私を追い抜く時に、M川さんが一言、
「フランス人も、奥さんの方が速いねって言っているよ。」

「そんな事、よその国の人に説明することはないし、
それを私に報告しなくても良いですから(爆)」

益々心が折れました。
どうもM川さんは私を抜く時、一言多い(笑)
(昨年の恵庭600の時はコチラ

11:08 86.4km地点 ついに止まって水分補給と塩飴の補給。
再び走り出し、
11:17 88km地点 晩成温泉入口の自販機で休憩
overさんと相方が待っていてくれました。
赤コーラを買って、相方からあんパンを半分貰って食べた。
overさんが「お昼のグルメはどうするの?」って聞くから、
M「お昼は白老牛の焼肉丼ですわ」
O「良いねぇ~」
M「行きますか?」って話して、
私が遅かったのでoverさんが先に出発し、少し遅れて相方と私が出発した。
11:24 同上地点 出発。

雨が更に強くなり、風も去年の函館400を思い出させるような強い風だ。
しかし、あんパン効果なのか少し脚が回り、スピードも上がって来た。
「overさんに追いつくぞ!」って思っていたら、
11:57 98km地点 再び相方の後輪と私の前輪が接触して落車!
今度は20km/hを越えるスピードでアスファルトに叩き付けられたので、ダメージはあった。
が、不思議と自転車と雨具には損傷がなく、ジャージの首の所が少し傷ついただけ。
不幸中の幸いである。
身体は、この冬に脱臼した側の肘と肩と腰とあばらを打ち付けて、打撲傷が出来たようだ。
ホントに痛い。
痛みが少し引くまで、しばらく休んだが、雨と風がひどくなるばかりなので、とりあえず走り出す。
ここで流石の私も、今まで一度も相方と接触しての落車はないのに、今日は限って二度の落車した原因を考えながら走った。


皆さんの参考になるかもしれないので、ここは恥を忍んで私の考えをお披露目したい。
相方の自転車の動きを後ろから注意深く見ていると、
向かい風の強い風(突風)が来たら、私との車間距離が急激に縮まるのだ。
考えられる原因はただ一つ、
体重だ!
つまり、体重が軽い人は体重の重い人より風の影響を受けやすい。ということだ。

トレイン1
更に今回の様に、斜め前方から風に吹かれて煽られると、バランスをとるためにペダルを回すのを止めた時に、後ろの体重の重い人がペダルを回し続けていると、更に縮まる距離が大きくなる。
         トレイン2
今回我々はマッドガードを忘れて着けなかったので、跳ね上げる泥水を避ける為に雁行していたのだが、
風によって煽られて、横に振られることで接触することになるようだ。

ついつい風が強いと前の人との距離を詰めたくなるところであるが、前の人が体重が軽い場合、タイヤ2個分(1.5m)位は空けた方が良いと、痛い体で思った。

ちなみに、「そんな風の強い時に、女の後ろにいないで、引いてやれよ!」と思っている方は、ウチの相方を知らない人だ。
ウチの相方はどういう訳か私の後ろを走りたくない人なのだ。
向かい風で18km/h位で走っているからと私が前に出て20km/hで走っていても、18km/hで走っていても千切れてしまうのだ。先に行って待っていると、14km/h位で来たりする。
私が先に走ると心が折れるというか、私の前を走っていないとご機嫌良くに走ってくれないのだ。
んなわけで、当家では相方が先頭の時が多いのである。
(ちなみに坂は脚力差、いや、体重差ですから


後日、当日の広尾の風を調べてみた。
風
往路は最大16.0m/sの見事な向かい風!
11:30~13:00位の間は、最大瞬間風速は14m/sを越える強さだ。
最大瞬間風速10m/sを越えると、自転車が煽られる強さの様だ。
15m/sを越えると危険ですらある。
今まで、去年の函館400に比べれば、・・・と、散々ほざいてきたが、
もうこれで十分でございます。
あの時の風を十分思い出しました。(涙)
もう勘弁して下さい。orz

ちなみに復路の時は風向きが変わって、西からの横風になって、道路の内側に飛ばされる風になっていた。


12:31 108.7km地点 豊似防災ステーションの交差点着(予定 12:00)
予定より31分遅れだ。
満身創痍の状態で、心も折れた。
生花の交差点からこの豊似の交差点までの27.9kmを1時間43分もかかった。
平均時速16.25km/h(大涙)

この交差点をPC2へ向かって左折すれば、更に向かい風が強くなるようだ。
DNFして右折すれば、追い風だ。

私の明日はどっちだ???


(つづく)